理論暗記という驚愕の勉強
みなさんは、文章をまるごと暗記したことはありますか。
きっと、ないと思います。
高校生の頃は、定期試験や大学受験に向けてたくさんの事柄を暗記した人も多いでしょう。また、大学でも、専攻によると思いますが、ある程度暗記が必要な場面があったと思います。
ですが、それは、単語や用語の暗記、キーワードの暗記、もしくは英語構文の暗記だったのではないですか。むしろ、大学受験ましてや大学の勉強においては、そのキーワードの意味することを理解しているか、また、キーワードを駆使して論理的な説明をすることができるか、そういったことが重要であったと思います。
ところがです。税理士試験においては、大量の文章をまるごとしかも一語一句暗記する必要があるんです。「要はこういうことでしょ」とか「意味は伝わるから」とかそういった話ではなく、愚直に文章を正確に暗記してまるでコピーするかのように書き出せるようにならなければいけません。
昔、司法試験に向けて勉強している人からこんな話をきいたことがあります。
「法律を勉強している」と法律を学んだことがない人に伝えると、「弁護士になる人って、法律の条文を覚えてるんでしょ」とよく聞かれるけれど、そんなわけはない、法律を解釈して運用する技法を学んでいるんです、と。
つまり、もし、法律を勉強しようとして、六法を一語一句暗記している人がいたら、それは明らかに誤った勉強法でしょう。
にもかかわらず! 税理士試験は、税法という法律の試験なのに、まさにその税法の条文を一語一句暗記しなければならないんです。
個人的には、税法の条文を一語一句言えることよりも、実際の事例に応じてどう税法を解釈していくかのほうが大事なんじゃないかと思うのですが、試験内容が暗記を要求しているので仕方ありません。
もし、これから税理士試験の受験の勉強をしてみようかなと思っている方がいましたら、そういった各科目につき書籍一冊分の文章を一語一句暗記する生活が短くても3年間は続くのだと覚悟をしておいたほうがいいでしょう。
学生時代に効率の悪い勉強をしたことがあるか
効率良く、要点を理解して勉強できる友人、まわりにいませんか?
私は、高校生活を運よく推薦入学した超進学校で過ごしたので、まわりはそんな人たちばかりでした。まわりの能力が高すぎて、自分の能力に早々に見切りをつけてしまったせいで、成績がよくないにもかかわらず塾に行って改善しようという気持ちになりませんでした。
授業スピードが速く内容も難しいので、わたしはゴリゴリの暗記に頼る勉強をしていました。
その最たるものが、
古文の口語訳を一語一句暗記する、という勉強法?です。
高校1年生のとき、古文の文法(已然形とかああいうやつ)を覚えて古文を読む練習をしていなかったために、古文を読むことはあまりできませんでした。あまり、というのは、まったく勉強していないわけではないので、部分的には正しく読めても、本当に理解しているという感じではなかったのです。
雰囲気で口語訳して、あっていれば、「おお、あってる」と思い、間違っていれば「ああ、違うんだな」と思っただけで、次からできるようにしようとかそういう考えがどういうわけだかあんまりなかったのです。
文法に則して内容を理解していくことがきちんとできないので、でも定期試験の日は差し迫っているので、私は当時取り組んでいた進研ゼミのテキストに載っていた口語訳を一語一句暗記する作戦をとっていました(もちろん初見の古文はほぼ読めないことになります)。
よくよく思い出してみれば、このときも、私は文章の暗記はさほど嫌ではなかったようで、そのことは税理士試験の理論暗記にも生きている?気がします。
案外、そういう、ゴリゴリの暗記に頼った勉強をして嫌にならなかった人が、税理士試験に向いているのかもしれません。